キミじゃなきゃダメなんだ
「...汐見、先輩?」
彼はすぐ目の前の廊下の壁に背をもたれて、私を待っていた。
周りの一年女子の視線を集めて。
...このひと、なんかまたカッコよくなってないか。
気のせいか。
え、これはまさか恋のフィルターですか?恋?恋なの?
内心プチパニックになる私と目が合うと、彼は一瞬だけ目を細める。
...うう。
そうやって無意識に、目で気持ちを伝えてくるのやめてください。
体育祭の翌日の金曜日は、会えなかったんだよね。
だから先輩と話すのは、体育祭ぶりだ。
「ごめん、昼食中に」
「い、いえ。何かご用でしょうか...!」
「...なんでそんなに緊張してるの?」
だ、だだだだって。
なんか、先輩がすごくカッコよく見えるんだもん。
いや、もとからカッコいいけど!