キミじゃなきゃダメなんだ
☆5
┗いざ行かん!初デート
「あれ?あんた出掛けるの?」
十一月の第一日曜日、午前九時。
私は家の玄関に座って、足をブーツに突っ込もうとしていた。
あー、やっぱり履き心地に違和感がある。
スニーカー履きたい。
我が母すみれは、そんな娘の姿を見て眉を寄せた。
「なんか...いつもより女の子らしい格好してるじゃない。また、里菜ちゃんと千代子ちゃんとどこか行くの?」
「あー...うん。まあ、そんな感じ...」
嘘だけど。
まさか、男子とふたりで遊園地へ行くだなんて言えない。
だって、先輩は彼氏じゃないもん。
付き合ってないのにふたりで遊園地ってどういうこと、と、この母親なら興奮しかねない。
だって彼女の娘には、今まで彼氏と呼べる存在ができたことがないのだから。