キミじゃなきゃダメなんだ
「アハハ、またぁ?マル、よく弟くんとケンカするよねぇ~」
「あいつが悪いんだもん」
私と里菜がそんな会話をしている間も、チョコちゃんは無言でスマホを触っている。
これもいつも通り。
会話に交ざりたいときに交ざる。チョコちゃんは気まぐれなのだ。
――――トゥルルルル.....
やがて電車が来て、私たちは乗り込む。
ガタンガタン、という不規則に音を立てる電車に揺られながら、高校のある市を目指す。
車内は満員だ。
里菜とチョコちゃんと三人で身を寄せあって、縮こまる。
掴まるところがなくて足元が不安定だけど、そろそろ慣れてきた。
季節は、秋。
少しずつ肌寒くなっていく、九月だ。
....あー、やばい。眠い。
電車の揺れが、まるでゆりかごのように感じる。
でも、こんな押し潰されんばかりの電車内で、立ったまま寝るわけにはいかない。