キミじゃなきゃダメなんだ


「アハハ、またぁ?マル、よく弟くんとケンカするよねぇ~」

「あいつが悪いんだもん」


私と里菜がそんな会話をしている間も、チョコちゃんは無言でスマホを触っている。

これもいつも通り。

会話に交ざりたいときに交ざる。チョコちゃんは気まぐれなのだ。



――――トゥルルルル.....

やがて電車が来て、私たちは乗り込む。

ガタンガタン、という不規則に音を立てる電車に揺られながら、高校のある市を目指す。


車内は満員だ。

里菜とチョコちゃんと三人で身を寄せあって、縮こまる。

掴まるところがなくて足元が不安定だけど、そろそろ慣れてきた。


季節は、秋。

少しずつ肌寒くなっていく、九月だ。



....あー、やばい。眠い。


電車の揺れが、まるでゆりかごのように感じる。

でも、こんな押し潰されんばかりの電車内で、立ったまま寝るわけにはいかない。


< 3 / 549 >

この作品をシェア

pagetop