キミじゃなきゃダメなんだ
「....百合、大丈.....」
先輩の心配した声が横から聞こえてきて、そっちを向こうとしたら、近くから男性の声がした。
「す、すみません、うちの子供が....!」
慌てた様子で駆け寄ってきたこの人は、どうやらこの子供のお父さんらしい。
つーか格好いいなお父さん。イケメンじゃねーか。若いし。
「大丈夫ですか!?」
驚いていると、ごく自然な動作で手を差しのべられた。イケメンな上に紳士!
「は、ハイ....」
思わず手をとって立ち上がる。
お父さんが子供の背中を軽く叩いて、「ほら、ごめんなさいは!?」と言うと、子供は今にも泣きそうな顔で「ごめんなさい....」と言った。
な、なんかこっちが申し訳なくなってくるぞ。
「あ、えっと、大丈夫なので、気にしないで下さい...」
「ホントにすみませんでした....!」
イケメンなお父さんはしきりに頭を下げると、子供を怒りながら去っていった。