キミじゃなきゃダメなんだ

┗恋愛下手な女



比較的人の少ない場所を探すと、ちょうど誰もいないベンチを見つけた。

そこに座って、ふう、と息をつく。


鞄から、なけなしの女子力がつまった....今ではもはや救急箱のような役割のポーチを出した。


「...............」


ベンチに座った私の前に立つ先輩は、やっぱり今まででたぶんいちばん不機嫌な顔をしていて。


うう....さっきは普通に話してくれてたのに。

そんなに遮られたの嫌だったのかな。


ため息をつきたくなるのをこらえて、あとちょっと痛みにも耐えて消毒した。

傷自体は大したことないんだけどなぁ。


はあーあ。

私は一体、何度先輩の前で膝を怪我すればいいんだろ。

体育祭練習で怪我したやつ、ついこの前治ったばっかなんですけど。


先輩と出会ったあの日から、私結構継続的に膝に絆創膏を貼っている気がする。

はは....恥ずかしいとか情けないとか通り越してきたよ。ははは。

< 343 / 549 >

この作品をシェア

pagetop