キミじゃなきゃダメなんだ



「ごめん」


だけど、次に先輩が口にしたのは、拒絶の言葉じゃなかった。

顔を上げると、先輩の目はさっきよりも冷静さを取り戻していて、少しだけホッとする。

でも、表情は明るくなくて。


「僕も余裕がなかった。そもそも僕は君の彼氏じゃないから、こんなに堂々と嫉妬するのはおかしいよね。ごめん、君を責めるのは間違ってた」

「.....いえ.....」

「...それに、僕たちは『友達』だったね」

「.........」


....自分で、言ったことなのに。

この前まで、私はその立場を誇りに思ってたのに。


『友達』って響きが、こんなにももどかしい。



「...ごめん、百合」


私が黙ったままだからか、先輩が心配そうに私の前に屈んだ。

私は目を合わせずに、首を振って「私も悪かったです」と言った。


< 350 / 549 >

この作品をシェア

pagetop