キミじゃなきゃダメなんだ
「ごめん」
だけど、次に先輩が口にしたのは、拒絶の言葉じゃなかった。
顔を上げると、先輩の目はさっきよりも冷静さを取り戻していて、少しだけホッとする。
でも、表情は明るくなくて。
「僕も余裕がなかった。そもそも僕は君の彼氏じゃないから、こんなに堂々と嫉妬するのはおかしいよね。ごめん、君を責めるのは間違ってた」
「.....いえ.....」
「...それに、僕たちは『友達』だったね」
「.........」
....自分で、言ったことなのに。
この前まで、私はその立場を誇りに思ってたのに。
『友達』って響きが、こんなにももどかしい。
「...ごめん、百合」
私が黙ったままだからか、先輩が心配そうに私の前に屈んだ。
私は目を合わせずに、首を振って「私も悪かったです」と言った。