キミじゃなきゃダメなんだ
「...今は、先輩と出掛けてるんですから。先輩も楽しくなきゃ、ダメですし。先輩を不安にさせることが何なのか知ってるくせに、ちゃんとできなかったのは私なので」
「......ごめん、気を遣わせて」
「違います、気を遣ってるとかそういうことじゃなくて....」
ああ、上手く言えない。
違うんだ、それが負担になってる訳じゃないんだ。
私が悪いのは事実だし。
だって私は、何も言ってない。
怖くて先輩にまだ何も言えない、意気地無しだから。
...いつも気持ちを伝えてくれる先輩と、ちゃんと向き合えてないのは事実なんですよ。
「....ごめんなさい。上手く言えない」
「いいよ。難しいことを要求してるのはわかってるし」
「.....とっ、とにかく!先輩にも楽しんでほしいんです、私は今とても楽しいので!」
無理矢理、明るい口調に切り替える。
だめだ、暗くちゃだめだ!
楽しんでほしい、先輩にも。
せめて『友達』として、『後輩』としては。
ね!と笑いかけると、先輩はさっきより少しだけ安心した顔をして、「そっか」と言った。