キミじゃなきゃダメなんだ
「いい?マルは、神のようなお心の先輩に感謝して、仲良くしなきゃダメだよ。こんな状況、先輩にとっては辛い以外の何物でもないんだから!」
「...はーい」
わかってるよー。
私はそう返事をして、暮れかけた空を見上げた。
*
次の日。
いつも通りの時間に電車に乗って、三人でなんでもない話をする。
次の駅に着いて扉が開いたとき、乗り込んでくる大勢の人達の隙間から、見覚えのある顔が見えた。
せ...先輩だ!
私達の最寄り駅の、次の駅なんだ。
じゃあ、先輩の家もその近くにあるのかな。
汐見先輩は黒のイヤホンを耳につけて、閉まったドアに寄りかかった。
学ランの下からのぞく、藍色のパーカーが素敵だ。絵になりすぎてる。格好いい。