キミじゃなきゃダメなんだ


わかんないよ。こっち向いてよ。



ねぇ、また笑ってよ。




「.....っ、汐見、先輩!」


彼のもとへ、走る。

声はしっかりと届いて、先輩はゆっくりと振り返った。


....まだ、何言うか決めてないのに。

だけどまず、目を合わせなきゃ。


それから、とりあえず何か言おう。


あ、だめだ、とりあえずじゃだめだ。

まず、彼の言葉を聞いてみよう。それから考えよう。


『何?』で終わられたらどうしようか。昨今の女子はこういうとき、どういうトークを展開するの?難易度高くね?


色々と考えている間に彼のもとへ着く。

先輩はちゃんと立ち止まってくれていた。


「............」


息を整えながら、ああまさかの沈黙パターンか、なんて考える。

じゃあ私から話さなきゃな、えーと、まず何を言えばいいんだ?



< 376 / 549 >

この作品をシェア

pagetop