キミじゃなきゃダメなんだ
わかんないよ。こっち向いてよ。
ねぇ、また笑ってよ。
「.....っ、汐見、先輩!」
彼のもとへ、走る。
声はしっかりと届いて、先輩はゆっくりと振り返った。
....まだ、何言うか決めてないのに。
だけどまず、目を合わせなきゃ。
それから、とりあえず何か言おう。
あ、だめだ、とりあえずじゃだめだ。
まず、彼の言葉を聞いてみよう。それから考えよう。
『何?』で終わられたらどうしようか。昨今の女子はこういうとき、どういうトークを展開するの?難易度高くね?
色々と考えている間に彼のもとへ着く。
先輩はちゃんと立ち止まってくれていた。
「............」
息を整えながら、ああまさかの沈黙パターンか、なんて考える。
じゃあ私から話さなきゃな、えーと、まず何を言えばいいんだ?