キミじゃなきゃダメなんだ
電車は運良く座る席があって、並んで座った。
一駅分くらいは普通に話してたけど、次第に眠たくなってきて。
「寝ていいよ」と隣から声がしたから、素直に目を閉じた。
*
『次は、ーー、ーー駅に止まります...』
アナウンスが聞こえてきて、目を開ける。
外の景色を見て、まだあと二駅あると判断して、もう一度眠ろうとした。
だけど頭に重みがあって、視線を横にずらす。
私は、先輩の肩に寄りかかって寝ていたみたいだ。
頭上から微かな呼吸音が聞こえてくることから、先輩も私に寄りかかって寝ているんだとぼんやりわかった。
周りの客から見たら、微笑ましいカップルにしか見えないんだろうか。
そううっすら思ったけど、この状態が心地よくて離れようとも思えない。
手を動かそうとして、だけど動かせないのに気づいた。
....握られてる。
あのときほど、強くはないけど。