キミじゃなきゃダメなんだ


電車は運良く座る席があって、並んで座った。

一駅分くらいは普通に話してたけど、次第に眠たくなってきて。

「寝ていいよ」と隣から声がしたから、素直に目を閉じた。







『次は、ーー、ーー駅に止まります...』



アナウンスが聞こえてきて、目を開ける。

外の景色を見て、まだあと二駅あると判断して、もう一度眠ろうとした。

だけど頭に重みがあって、視線を横にずらす。


私は、先輩の肩に寄りかかって寝ていたみたいだ。


頭上から微かな呼吸音が聞こえてくることから、先輩も私に寄りかかって寝ているんだとぼんやりわかった。


周りの客から見たら、微笑ましいカップルにしか見えないんだろうか。

そううっすら思ったけど、この状態が心地よくて離れようとも思えない。


手を動かそうとして、だけど動かせないのに気づいた。

....握られてる。

あのときほど、強くはないけど。




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