キミじゃなきゃダメなんだ


そう、児玉くんだ。

体育祭の時、鉄の棒を運ぶのを手伝ってくれた、心優しいテニス少年。


だけど今は、彼の背中に羽根が見えた。今この場において、こいつは救世主だー!



「ど、どーしたの児玉くんー!」



ラッキーと言わんばかりに、児玉くんに返事をする。


「体育の矢代が、教室までお前のこと呼びに来たんだよー!早くお前が体育教官室行かねーと、俺がしばかれる!」


体育の矢代先生だと!?


や、やべえ。私、何かやらかしたっけ。


鬼教官の矢代先生は、テニス部の顧問でもある。

汐見先輩から逃げられる!と思ったけど、児玉くんの命のためにもこれは早く行かねばならない。



「わ、わかったー!今すぐ行くー!」



返事をして、児玉くんが「頼むぞー」と言ってから、階段を下りていくのと同時に。


私の腕が、後ろから強い力で掴まれた。




< 440 / 549 >

この作品をシェア

pagetop