キミじゃなきゃダメなんだ


...え。

遊園地の時のことを思い出して、慌てて振り返る。


先輩は怒ったような顔をして、じっと私を見ていた。


....あ。

私が、児玉くんの方に、行くから?



何か言おうとして、口を開く。

だけど、何を言えばいいのかわからない。

ヤキモチ焼いてるのは、私も一緒で。


どうしていいかわかんなくて口をパクパクさせていると、ぐいっと腕が引かれた。


そして、耳元に先輩の唇が近づく。

不機嫌な顔とは裏腹に、その声は優しかった。




「僕が好きなのは、百合だから」




...まるで、言い聞かせるような言い方で。


少しあとにその意味を理解して、頭の奥が熱くなった。



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