キミじゃなきゃダメなんだ
「...う、うわああん」
なんだかもうわけわかんない。
とりあえず涙が止まらない。先輩の学ランが濡れる。ごめんなさい。
「う、うわぁあん、ごめんなさいーっ。こっ、こんな、泣きながらとかじゃなくて、もっとかっこよく、言いたかったんですけどぉ」
「....いーよ。かっこわるくても」
「こ、こんなぐっちゃぐちゃじゃなくて、もっとこう、スパーンて言いたかったんです。うええ、もうやだ、全然上手くいかなかったぁぁ」
「いーって。...ありがと、勇気だしてくれて、言ってくれて。僕も好きだよ、百合」
先輩の甘い声が、私の脳を侵す。
...もう死んでもいいかもしんない。
悔いないよ。
私、好きなひとに好きって言えた。
抱きしめてもらえた。
幸せすぎない?私、明日死んだりしない?
「う、ううう、いいんですかぁ、こんなのが彼女でーっ」
「こんなのって....僕は君がいいから告白したんだけど」
「だって私、やばいんですよ。もうまっくろなんですよぉ」
「まっくろ....?」
「先輩が、私だけ見ててくれなきゃ嫌なんです。先輩が笑ってくれるのも、話しかけてくれるのも、私だけで、ずーっと、ずっ....」
と、という言葉は、何かに飲み込まれた。
いつかに見覚えのある景色が、目の前に広がっている。