キミじゃなきゃダメなんだ

┗おまけ:恋愛下手なイケメンの話



百合と付き合ってから、ちょうど三ヶ月経った日。


まぁ三ヶ月経っただけだしと、特にお祝いというお祝いはしなかった。


『三ヶ月経ちましたねえ』

『そうだね』

『これからも仲良くしたいですねえ』

『そうだね』


くらいしか、三ヶ月についての会話はしなかった。


でも二月の寒い時期だったから、百合の希望で、コンビニで買った肉まんを帰り道にふたりで食べた。


百合は肉まんを食べる途中、前をぼーっと見つめながら、『私、ときどき思うんですけど』と言った。



『先輩と出会って、こうして付き合えてるのって、絶対一生分の運使ってます』



百合は普段、『一生』とか『これからもずっと』とか、そういうワードを僕に対して、口に出して使おうとしない。


だから僕は単純に嬉しかったけど、『一生分の運を使ってる』のは、たぶん僕も同じだなと思った。


この子がいなかったら、きっと今頃僕の日常は、こんなに楽しくなってないから。








百合を初めて見かけたのは、高校二年になったばかりの五月。



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