キミじゃなきゃダメなんだ
「もう私達を阻むものは何もありませんね....!」
「...阻むもの?そんなのあったの?」
「気がかりなことってことですよ!なんにも気にせず先輩とお話できるんですよ。嬉しいですよ」
「僕は割とはじめから何も気にしてなかったけどね」
あなたはね。まあそうだろうね。
先輩が自分のお弁当を取りに席へ戻ったから、私はドアの横で待ってることにする。
廊下を歩いている二年生が、私をちらちらと見てきた。
中には「あ、汐見くんの彼女だー」とか言ってる先輩がいて、ニヤけそうになった。うへへ。
私、先輩の彼女として認められつつある。汐見先輩の彼女。うへへへへ。
....ハッ。だめだニヤけるな!
クールでハイスペックと名高い先輩の彼女が、こんな風にひとりで不気味にニヤけてちゃダメだ。先輩の趣味が再度疑われてしまう!
馬鹿野郎!しっかりしろ表情筋!
「....大丈夫?」
せわしなく百面相していたら、横から先輩が怪訝そうに顔を覗きこんできた。今日も今日とてこの人はお美しい。