キミじゃなきゃダメなんだ


やはり彼が細いせいか。そう思うと理不尽にも腹が立った。


私なんか、着太りしたくなくてあんまり着込んでないのに!


「むかつく」

「なんでだよ....なんでここでムカつかれたんだよ....」

「私にもカイロください」

「ごめん持ってない」


下唇を噛んで悔しい顔をして見せると、先輩は困った顔して笑った。


その笑顔が可愛かったからさらにムカついた。でもこの顔を見れるのは私だけだと考えると、まあ許してやらなくもなかった。



いつも使っている教室へ入って、席につく。


普段あまり授業で使われない教室だからか、とにかく冷えきっていて、寒い。


「せ、先輩。寒すぎませんか」

「....足がかわいそう...」


先輩が気の毒そうに目を細めて、私の足元を見た。


生足だ。


今日に限ってタイツ穿いてこなかった。私の馬鹿が悪い。まじで。


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