キミじゃなきゃダメなんだ



「...百合さ、付き合いだしてから、喜びを隠さなくなったよね」



先輩が、ちょっと呆れた目で私を見ていた。

また私は盛大にニヤけていたらしい。


い、いいじゃないか。付き合う前までは、ずっと表情筋との戦いだったんだ。


「だって嬉しいですもん」

「可愛いからいいけどね」

「ニヤけてる女が可愛いんですか...?」

「君はね」


たぶんこのひと、私であればなんでもいいんだと思う。

絶対先輩の目には、私に対する超高性能な美化フィルターがかかっているに違いない。じゃなきゃ病院行け。


ちょっと恥ずかしくなってきて、表情を抑えながら先輩を見た。


「....デート、します。してください」

「うん。どっか行きたいとこある?」

「まだあんまり...あ、イルミネーションは見たいです」


定番だよね。イルミネーション。


クリスマスデートでは、たぶんこれは必須だ。

あれだろ?イルミネーションの前でキスしたりするんだろ?だって少女漫画だとそうなんだよ!


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