キミじゃなきゃダメなんだ
好んで使ってるものとか、そういうの。
そういうのが、全く見受けられない。
私が知らないだけなのかな。
里菜とチョコちゃんに相談すると、ふたりは口を揃えて『マルからあげるものならなんでも喜んでくれると思う』と言った。
まあたぶん、そうだろう。
それは否定しない。
だけど、せっかくあげるなら、先輩が欲しいものがいいじゃん?
彼を見ると、難しい顔をしていた。
「あの...直球でアレなんですけど、今、何か欲しいものとか、ありますか」
「....特に、ない」
「ほんとに?」
「僕、もともと物欲がないんだよ。生活で必要なものは足りてる。趣味っていう趣味もない」
「やっぱり.....」
このひとはこう、もっと私以外のものに目を向けるべきだ。
今までどうやって生きてきたんだ。そんなんでよく人生に絶望せずにこれたな。やっぱりイケメンだからか。
「ええー....好きなものとか、ないんですか。ほら、先輩いつも、登校中音楽聞いてるじゃないですか」
「あれは....好きな歌手がいて聞いてるわけじゃないし。適当に選んでるだけ」
「........」
重症だ.....。