キミじゃなきゃダメなんだ



「わ...私なりに、プレゼントを選んできます。でも喜んでもらえる自信がないので、な、名前も、呼びます」



呼ばせていただきます。


決意を込めて言うと、先輩は嬉しそうに「ふーん。楽しみ」と言った。楽しみ!?


「言っとくけど、これからずっとそれで呼んでもらうからね」

「ええっ。そ、そ、それは」

「嫌なの?」


嫌じゃないけど!

ずっと『汐見先輩』って呼んでたから、なんか恥ずかしい。結構照れる。むり。


どうしようどうしようと内心焦っていると、先輩が仕方ないという顔で、「じゃあ、クリスマスの当日だけでいいよ」と言ってくれた。


「その日はずっと、苗字じゃなくて名前で呼んでね」

「わ...わかりました」

「...試しに今、呼んでみてよ」


えー!


驚いて先輩の顔を見ると、ニヤニヤしていた。心底楽しそうだ。彼の趣味が私というのも間違いじゃないかもしれない。


うええ、今?今呼ぶの?

し...下の名前。したの、なまえ。

ひ、久登、だから。


「...ひ、」

「......」

「ひ.....」


....この先が言えない!

なんだろう。なんでこんなに恥ずかしいんだろう。

今すごい顔熱い。真っ赤だと思う。

こんなんでクリスマス大丈夫なのか。



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