キミじゃなきゃダメなんだ
「け、消してください」
「無理」
「そんなの録音してどうするんですか?聞くんですか!?」
「聞く」
「躊躇いがなさすぎる...!」
すごいよこのひと!真顔で『聞く』っつったよ!彼女が自分の名前を呼んだ声を!録音して!聞くって!
「変態ですか!?」
「男はみんな変態だよ」
「うわああああん!」
話通じないスイッチ入った!どうしよう!
え?やばくない?ほんとに録音したの?このひと。
先輩の趣味が私ってマジなの?それでいいの?私のこと好きすぎて頭おかしくなってるんじゃないの?
「な、名前なら、クリスマスにも呼びますし....」
「それまで待てない」
「でもさすがに録音は...その....ちょっとこう....」
「引いてる?」
「え?」
「今。僕に引いてる?」
ちらりとその目が、携帯から私の方へ視線を移した。