キミじゃなきゃダメなんだ
....私がいれば、何もいらない、か。
なんて甘美な言葉だろう。
すごくすごく重くて、甘くて、切ない響きをしてる。
先輩は、私の面倒な性格をぜんぶ受け入れてくれるらしいから、私もその愛を受け止めるべきだよね。
彼が私を愛してくれる。だから私は、このひとの底無しの愛をぜんぶ受け止める。
たぶんそれが、私達らしい、私達の付き合い方。
そのとき、チャイムが鳴った。
先輩は静かに携帯を置くと、彼を見ていた私と目を合わせた。
「....ごめん。僕ばっかり重くて」
「いいですよ。嬉しいから」
「...ほんとに?」
「私も重いです。充分。お互い様です。ただ、録音とかするときは、事前に言ってくれると助かります」
「ええー....君、絶対嫌だって言いそう」
「嫌だって言われるようなタイミングで録音しなければいいんですよ....」
へんなの。
拗ねたと思ったら機嫌良くなってニヤニヤして、真顔でヤンデレになったかと思ったら不安な顔してこっちを見てくる。
へんなひと。めんどくさいひと。
でもそれが私の好きなひとだから、仕方ないね。
教室へ戻るために、席を立つ。
私が前を歩いていたけど、空き教室を出る直前、くるっと振り返った。