キミじゃなきゃダメなんだ


機嫌を損ねた私を見て、先輩は困ったように笑う。

申し訳なそうに、頭を撫でてきた。

そして優しい声で、言った。



「名前、呼んでくれてありがと。好きだよ、百合」



....知ってる。

充分、知ってるよ。


「わかってますよ。教室戻りますっ」

「はいはい。じゃあね」


踵を返して、ずんずん歩く。

でも途中で、なんとなく振り返った。


先輩も、階段を上がる途中でこっちを見ていて、また目があった。


彼は数秒私を見つめていたけど、いつものように小さく笑った。


ちょっと嬉しそうな、幸福な笑顔だった。









End.


< 549 / 549 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:1,147

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

第六魔法学校の紅と碧

総文字数/4,339

ファンタジー8ページ

表紙を見る
ハルとオオカミ

総文字数/80,468

恋愛(ラブコメ)188ページ

表紙を見る
キミの愛情120%

総文字数/118,753

恋愛(純愛)274ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop