キミじゃなきゃダメなんだ


うおお、かっけえ。

イケメンがやると、ますますカッコいい。

てゆーか、先を越されてしまった。


助けられた女性は、ホッとした様子で成り行きを見守っている。


あの男子、なかなかわかってる。

こういうとき、ハッキリ『痴漢してただろ』って言ったら、被害にあった女性も恥ずかしい思いをするんだよね。


思わず拍手を送りたくなる。

すると、何が起こっていたかを察した周りのひとの冷たい目が、一気に痴漢をしたおじさんに向かったのを感じた。

その視線に耐えかねたのか、おっさんは顔を真っ赤にする。

そして、掴まれた手を勢いよく振り払った。


「何言ってるんだ!言いがかりはよしてくれ!」

「いや、僕、この目で見たし...」

「君の目など信用できるか!今すぐ謝れ!」


いやいや、お前が謝れ!すぐそこにいる女性にぃぃ!!


そう叫びたくなったけど、グッとこらえる。

必要以上に暴れると、周りに迷惑だ。ここは満員電車。



< 6 / 549 >

この作品をシェア

pagetop