キミじゃなきゃダメなんだ
「....先輩のこと、私はまだ全然知らないし。ちゃんと、好きになってないし。気づかないうちに傷つけて、先輩が離れていっちゃうの、怖いんです」
汐見先輩の瞳に、少しだけ驚きがにじんだのがわかる。
私は俯いて、目をきつく閉じた。
「...先輩にはもっと、いいひとがいると思います。先輩に似合う、もっと優しいひとが....」
「コラ、そこの生徒!!授業中だぞ、何してる!?」
言い終わる前に、廊下の奥から聞こえた怒声で、びくりとした。
先生だ。
やばい、忘れてた。今授業中じゃんか。
どうやら先生は、私が向いている方向にいるみたいで。
顔を上げようとしたら、先輩が何も言わずに私の頭を下に押した。