キミじゃなきゃダメなんだ
「ちょっとおっさん、いい加減にしたら!?」
「なんだ、君は!?」
顔を真っ赤にしたおじさんが、眉を寄せて私へ振り返る。
私はムッとした顔のまま、鞄のポケットからスマホを取り出した。
そして、ズイッとおっさんの顔の前に突きだす。
おっさんはびっくりした顔で、私の持つスマホを見た。
「これ!さっきおじさんがやってたこと、全部録画しました。警察に知らされたくなかったら、今すぐその手を離してください」
「な...う、嘘をつくな!ほ、本当に録画してあるのか!?」
その顔には、焦りが浮かんでいる。
よーし、あともうひと押し。
突然やってきた私を、イケメンさんは驚いた顔で見下ろしていた。
私はおっさんを見上げ、にやりと笑う。
「本当ですよ。あ、ここで録画したの見てみます?まぁ、本当に映ってたら、おじさんもうオワリでしょうけど」
おじさんのひきつった顔が、なんとも面白い。
見たところ普通のサラリーマンだし、家庭を持ってるお父さんだとしたら、今の事態は最悪だろう。