キミじゃなきゃダメなんだ
「...ごめんなさい」
「僕だって『友達でいよう』って思ってたけどさ、そういう顔されると、期待するよ」
「...だって、慣れてないんです。こういうの」
「僕だって慣れてないよ」
...え?
驚いて、顔を上げる。
そこには、普段なんか比にならないほど、余裕のない顔をした先輩がいた。
「僕だっていっぱいいっぱいなんだよ。女の子に告白したの初めてだし、そもそも好きになったのも初めてだし」
先輩の顔は、真っ赤だ。
....うそ、うそ。
だって先輩、私に『好きです』って言ったときでさえ、顔色ひとつ変えてなかったのに。
「女の子口説くとか、今までの僕には考えられなかったし。君ものすごく正直だから、遠慮なく諒に『友達です』とか言っちゃうし」
グサグサグサーーー。
埋まりかけていた傷口が、えぐられる。
なんかもう、そろそろ本当に泣きたくなってきた。