キミじゃなきゃダメなんだ
「...せ、先輩っ、本気ですか!?」
「何が?」
「私、ものすごく馬鹿なんですよ。また失礼なこと言っちゃうかもしれないんですよ。それでもいいんですか?」
「.....いいよ。言ったじゃん、そういうとこも好きだって」
....うう。
なんなんだろう、やっぱりあの日は吉日だったんだ。
弟よ、あの夜はリモコンを離さないでいてくれてありがとう。
おかげで私は、なんだかすごいイケメン様に捕まってしまった。
....先輩を、心から欲しいと思ったら。
そんな日、くるのかな。
きたら、いいな。
先輩は私を抱き締めたまま、また耳元で囁いた。
今度は彼から少しだけ緊張が伝わってきて、なんだか愛しくなる。
....想うことに慣れてない先輩と、想われることに慣れてない私と。
恋愛下手がふたり、恋愛をするために友達になる。
先輩は小さく笑って、
「百合って呼んでもいい?」
と言った。