キミじゃなきゃダメなんだ
「うう...この前までの、優しい先輩はどこ行ったんですか?」
「あれは、君に少しでもよく思われようとしてただけだよ。でも優しくするだけじゃ君は僕に落ちてくれないみたいだから、諦めた」
「......今までの先輩は、私のために本当に頑張ってたってことなんですね」
私に照れた顔を見せないように頑張ったり、私を慣れない女の子扱いしてくれたり。
先輩、実は不器用で恋愛下手なのに。
私のことが、す、すすす、好き、だから。
頑張ってくれてたんだよね。
そう思うと、ますますこんな素敵なひとが私のことを....なんて。
ほんと、信じられないよ。
私みたいな平凡以下の女子が、あろうことか先輩をフッたのだ。
そのくせ、『友達から』なんて言って。
それを受け入れてくれた先輩は、本当に信じられないくらいイイ人だ。
近いうちに天罰が下ることを覚悟して、私は日々を過ごしています。
すると、私の言葉が気にさわったのか、先輩はあからさまに不機嫌な顔をした。
そして、黙りこんでしまう。
「先輩?」
「....僕、もう君に必要以上に優しくする気ないから。普段通りの僕でいく」
「ええっ、普段通りの先輩ってどんな?」
「笑いたいときにしか笑う気ないし、優しくしたいときにしか優しくしない」
わあお。
つまり気まぐれ王子になるってことですね!