キミじゃなきゃダメなんだ


シャーペンを意味もなくくるくる動かす。


そしてさらにノートの端にうさぎさんの落書きをすると、すかさず先輩がうさぎさんを消した。ああ....


「なんでうさぴょん消しちゃうんですか....」

「君が勉強せずに落書きするからでしょ。てゆーかうさぴょんって何」

「私の書いたうさぎさんはみんなうさぴょんになるんですよ....」

「...そう。とりあえずうさぴょんはいいから数学して」


先輩がうさぴょんとか言うとちょっと可愛いからムカついた。


私がうさぴょんって言ってもアホにしか見えないのに、先輩が言うとラブリーに感じる。この差はなんだ。顔か。


私は仕方なくシャーペンを持ち直しながら、ぶーっと頬を膨らませた。


「やる気ないのが不満というか...ただちょっと、もったいないなあって思っただけです。みんなで頑張るの、楽しいですよ」

「頑張る理由がよくわからない」

「そりゃ、勝利のためですよ。クラスとか、自分の団の」

「その勝利に興味がわかないんだよ」


ううう....こりゃダメだ。


先輩にはこう、根本的に、体育祭で頑張る理由がないんだな。

私は、とりあえずあの雰囲気だけで、楽しんじゃうタイプだからなあ。




< 98 / 549 >

この作品をシェア

pagetop