キミじゃなきゃダメなんだ
シャーペンを意味もなくくるくる動かす。
そしてさらにノートの端にうさぎさんの落書きをすると、すかさず先輩がうさぎさんを消した。ああ....
「なんでうさぴょん消しちゃうんですか....」
「君が勉強せずに落書きするからでしょ。てゆーかうさぴょんって何」
「私の書いたうさぎさんはみんなうさぴょんになるんですよ....」
「...そう。とりあえずうさぴょんはいいから数学して」
先輩がうさぴょんとか言うとちょっと可愛いからムカついた。
私がうさぴょんって言ってもアホにしか見えないのに、先輩が言うとラブリーに感じる。この差はなんだ。顔か。
私は仕方なくシャーペンを持ち直しながら、ぶーっと頬を膨らませた。
「やる気ないのが不満というか...ただちょっと、もったいないなあって思っただけです。みんなで頑張るの、楽しいですよ」
「頑張る理由がよくわからない」
「そりゃ、勝利のためですよ。クラスとか、自分の団の」
「その勝利に興味がわかないんだよ」
ううう....こりゃダメだ。
先輩にはこう、根本的に、体育祭で頑張る理由がないんだな。
私は、とりあえずあの雰囲気だけで、楽しんじゃうタイプだからなあ。