I先輩
 


槇先輩が言葉をつまらせて目線をそらす

梨乃ちゃんはそんなのおかまいなしに先輩を急かした。



「なんでですかっ?」



槇先輩は顔を上げると、わたしたちを見て眉を下げて笑った。



「…彼女を守れなかった、僕が悪いんです。だから…「七瀬先輩…ですよね?」

「え…?」



梨乃ちゃんが先輩の言葉を遮って言った。

わたしは梨乃ちゃんと槇先輩を交互に見た。

先輩は目を見開いて驚いた顔をして、梨乃ちゃんを見ていた。



「すみません、この前サッカー部の先輩と槇先輩が話している所、聞いちゃったんです。」

「……………」



何も言わない先輩を見て、梨乃ちゃんが続ける。



「二人とも、七瀬先輩に彼女とられたって…」



先輩は言い返さなかった。

だけどわたしは、梨乃ちゃんの言葉が信じられないでいた。

千彰先輩が…なんでそんなこと……


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