I先輩
 


「…けど、あの女は最悪だった。」



たか先輩は千彰先輩の話をただ黙って聞いていた。

千彰先輩は顔を上げてたか先輩を見た。



「お前知ってた?あいつ、お前と付き合ってる時4股かけてたの」

「は?」

「そんであいつ、自分から言い寄ってきて。
だから、俺は絶対にたかに謝る気はなかったんだよ。
あんな最低なバカ女に騙されてたのを気付かせてやったんだ、だから俺は悪くないって思っ…」



―パシン



頬を叩く音が響いた。

千彰先輩はほっぺたをおさえていて、叩いたのは…



「女はバカじゃない」

「りっ、梨乃ちゃん?」



梨乃ちゃん、だった。



「ただ、愛されたいだけ
愛されたらその愛を受け止めてあげたいだけ
あんたに女の何がわかんの?」

「男だって、そうだよ」



たか先輩が言った。



「俺が好きっつったら相手も好きって言ってくれて
騙されてるってわかってても、それでも俺は嬉しかった。嘘でも愛されてんだなぁって」

「お前…知ってて…?」


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