I先輩
たぶん隣の部室の人たちにも今の聞こえてただろうなぁ
そんなことより…
「…見たんですか?」
「「え」」
わたしは二人の顔を交互に見て言った。
「いや…見たっつーか…見えたっつーか……なぁ?」
「そーそー出来心…じゃなくて、たまたま!」
「もー入部取り消しますっ!!」
急いで部室を出ようとするわたしの手をカズ先輩が掴んだ。
「はなしてくださいぃー」
「まっ…ちょ、まとうよ!ちゃんと話し合お?ね?」
「これ以上話すことなんてありませんーっ」
「俺らが悪かったって!!ほらカズの大事にしてた春季限定のおかしコレクションやるから!!!」
千彰輩が腕にいっぱいおかしを抱えてきた。
ずるい…"限定"って言葉に女の子は弱いのに。
「それなら…」
「あー!!それはだめっ!!!!!」
わたしがおかしに手を伸ばすと、カズ先輩が急いでおかしを取り上げた。
「これじゃなきゃ…だめ?」
「……………」
わたしは小さく頷いた。