I先輩
 


―ガラッ


「………あれ?」



部室に入ると、窓の方を向いている千彰先輩がいた。



「千彰先輩、まだ残ってたんですかー?」



わたしが話しかけると、先輩はこっちを向いた。



「ん?まぁ…
つか、お前は?」

「え?」

「帰ったんじゃなかったのかよ?」

「あ、えっと…それは…」



わたしはいつも鞄を入れているロッカーを開けて携帯を探した。



「あ、あった!」



白い携帯電話を手に取ると、先輩に向けた。



「携帯、忘れたんです」

「相変わらずだな」

「バカって言いたいんですか?」



わたしが不機嫌な顔をすると、先輩がわたしの頭をクシャクシャと撫でて笑った。

千彰先輩の、クセ



「思ってねぇよバーカ」

「あー!今言ったー!!」

「え?まさか。
空耳じゃねーの」



先輩、それ棒読みです。


< 114 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop