I先輩
―ガラッ
「………あれ?」
部室に入ると、窓の方を向いている千彰先輩がいた。
「千彰先輩、まだ残ってたんですかー?」
わたしが話しかけると、先輩はこっちを向いた。
「ん?まぁ…
つか、お前は?」
「え?」
「帰ったんじゃなかったのかよ?」
「あ、えっと…それは…」
わたしはいつも鞄を入れているロッカーを開けて携帯を探した。
「あ、あった!」
白い携帯電話を手に取ると、先輩に向けた。
「携帯、忘れたんです」
「相変わらずだな」
「バカって言いたいんですか?」
わたしが不機嫌な顔をすると、先輩がわたしの頭をクシャクシャと撫でて笑った。
千彰先輩の、クセ
「思ってねぇよバーカ」
「あー!今言ったー!!」
「え?まさか。
空耳じゃねーの」
先輩、それ棒読みです。