I先輩
 


先輩は椅子に座って足を組んだ。



「俺さー、お前のこと言えないくらいほんとバカでさぁ…」

「知ってます」



だって、九々できないくらいだし…

わたしがそんなことを考えていると、先輩が笑った。



「お前が今思ってんのとは違くて…ほら、前までの俺は人のもんって何でも欲しくて、手に入んないなら無理矢理奪ってた。」



昔の…千彰先輩の話



「しかもずっと自分は悪くないって思っててさ、山ほど人傷つけてきた。
すっげーバカだろ、俺」



何も言えない…

槇先輩は反省してる人間を責めることはできないって言ってた

でも今まで千彰先輩がしてきたことは、大勢の人を傷つけてて

だから千彰先輩はずっと、自分を責め続けてる

なんて言ったらいいのか、わたしにはわからなかった。



「先輩…」



千彰先輩は立ち上がると、わたしの目の前で止まった。



「ただ、今回は…」


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