I先輩
 


「…ことりちゃん、行こ」

「えっ…」



無理矢理腕を引かれて部室を出た。

先輩の歩く歩幅が大きくて、わたしじゃついて行けてない。



「先輩っ…はやい、です」



わたしがそう言うと、先輩は足を止めてわたしの方へ振り返った。



「ごめん…」

「あ、いえ、その…」



なんだか気まずくて、わたしは自然を床に落とした。



「ごめん、もう少しゆっくり歩くから」



先輩はニッコリ笑うと、再び前を向いた。

わたしは先輩の背中を見つめると、その手を振り払った。



「カズ先輩…なんで最近目合わせてくれないんですか?」

「え?」



だってあからさまに、避けられてた。



「何かわたしに不満があるなら、ちゃんと言ってくれなきゃわかんないです!」



わたしは両手をグッと握った。

先輩は冷たい目をしてわたしを見た。



「…言ってくんないのは、ことりちゃんじゃん」


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