I先輩
最強男子
朝の教室は、HR開始5分前だっていうのに
まだ教室に来ていない人がいたり、もうお弁当を食べてる人がいたり、みんなザワザワと騒がしい。
そんなザワザワとした空気が、急にピタッと止まった。
「夏目一央の彼女って、どいつ?」
そう言葉を発した人は、ドアに片手を掛けて教室を覗き込んでいた。
カズ先輩の彼女、って
わたし…呼ばれてる?
その男の人はなぜか私服で、黒いサングラスに黒い帽子を被っていた。
「いねーの?休み?」
男の人がそう言うと、一斉にみんながわたしを指差した。
「えっ…!」
「ふーん、あんたか…。」
男の人は自分の顎に手をあててわたしを上から下まで見回すと、小さく鼻でフンッと笑った。
「俺、あんたに話があんだわ
まぁここじゃあれだし、別の場所でゆっくりと…」
男の人はニイッと口の端を上げて笑った。
…誰なの、この人
どっからどう見ても怪しすぎる。
「いやあのっでも授業がっ…」