I先輩
ハァーとお兄さんが長いため息をついた。
「特にあんただよ。
1番ウゼーって、カズが言ってた。さっさと別れたいってさ」
違う、この人が言ってることは、本当のカズ先輩の言葉じゃない。
だって言ってくれたもん
「だってカズ先輩は、わたしとずっと一緒に居てくれるって、約束してくれました。」
あの言葉は、絶対嘘なんかじゃない
「そーゆーのが、男には重いんだよ。」
重い…?
「バカじゃねーの。
嘘なんて平気でつけんだよ」
嘘…?
「いい加減あいつの気持ちに気づいてやれよ、な?」
だめ…
今この人と一緒に居たら、わたしの考えが揺らいじゃう。
何が本当で、何を信じたらいいのか、わからなくなる。
「……っ、わたしは!本当にカズ先輩から聞いたことしか信じません!!」
わたしはそう叫ぶと、走ってその場を後にした。
先輩、会いたい。
今はとにかく、早くこの不安な気持ちから解放されたかった。
「……ま、いーけど。
せいぜい勝手に信じてろよ、お前ん中の"カズ先輩"をな。」