I先輩
 


「…つーことでっ!話済んだし
俺、今からことりちゃん送ってくるけど…ついてきたら兄弟の縁切るから、まじで」



先輩が無言で睨みつけると、お兄さんは上下に首を大きく振った。

先輩はわたしの手を引いて玄関のドアを開ける

わたしは一度、お兄さんを振り返った。



「あの…っ、わたし、すごく先輩がすきです。
お兄さんにも、負けないくらい。
だから、たとえ先輩に嫌われてたとしても…わたしは…」



わたしは…



「先輩が、すきです」



声が震える。

なんか、すごく泣きそう

好きすぎて、涙が出るなんてこと、あるのかな?



「絶対、離したくなんかないから…」



離したくない

離れたくない

離してほしくない

わたしはいつの間に、こんなに欲張りになったんだろう。



「ことりちゃんってさ、結局俺のこと信用してないよね」


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