I先輩
「嫌だった…?」
眉毛を下げて先輩があからさまにしょんぼりする。
答えがわかってるのに、わざと聞いてるんだ。
「嫌なわけ、ないじゃないですか…」
わたしがボソッと言うと、先輩は満面の笑みで言った。
「じゃもっかいしよー!!」
先輩がそう叫んだ瞬間、目の前には3つの黒い影。
「何が、もう1回だって?」
「ここでそういうことをされては困りますね」
「人が見てないからって…」
「「すみません」」
わたしたちは3人に頭を下げた。
「罰としておかしの買い出し!二人で行ってきて」
梨乃ちゃんが鼻でフンッと笑う。
わたしたちは大きな声で返事をした。
「「はいっ!!」」
あのね…今は、
一つだけ出来たんだよ
わたしの自慢。
十年たっても、二十年たっても
ずっとずっとわたしは
誰よりも先輩が、大好きだってこと。
だれにも負けない、大好きの気持ち。
それが、わたしの唯一の自慢。
「ことりちゃん」
今日も愛しい人が、
わたしの名前を呼んでくれる。
絶対に離れないでね?
わたしだけの、先輩。
― END ―