I先輩
 


「嫌だった…?」



眉毛を下げて先輩があからさまにしょんぼりする。

答えがわかってるのに、わざと聞いてるんだ。



「嫌なわけ、ないじゃないですか…」



わたしがボソッと言うと、先輩は満面の笑みで言った。



「じゃもっかいしよー!!」


先輩がそう叫んだ瞬間、目の前には3つの黒い影。



「何が、もう1回だって?」

「ここでそういうことをされては困りますね」

「人が見てないからって…」

「「すみません」」



わたしたちは3人に頭を下げた。



「罰としておかしの買い出し!二人で行ってきて」



梨乃ちゃんが鼻でフンッと笑う。

わたしたちは大きな声で返事をした。



「「はいっ!!」」










あのね…今は、
一つだけ出来たんだよ

わたしの自慢。


十年たっても、二十年たっても

ずっとずっとわたしは

誰よりも先輩が、大好きだってこと。

だれにも負けない、大好きの気持ち。

それが、わたしの唯一の自慢。



「ことりちゃん」



今日も愛しい人が、
わたしの名前を呼んでくれる。

絶対に離れないでね?

わたしだけの、先輩。





― END ―




< 151 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop