I先輩
あんな怖い目した先輩、初めて見た。
どうしたんだろう…
「ひどーいっ…」
梨乃ちゃんは顔を両手でおさえてしゃがみこみ、泣き出してしまった。
「あっ…えと…大丈夫?」
「梨乃…悪いことしたかなぁ…?」
わたしは思いっきり横に首を振った。
「梨乃ちゃんは悪くないよっ!あのド変態カズ先輩がいけないんだもんっ!!!」
そうだよ、どんな理由があったって女の子泣かすなんて最低っ
「うぅん…夏目先輩が気に触ること…きっと梨乃が言っちゃったんだね。
だから、先輩を責めないで?」
…なんて、いい子なの梨乃ちゃん。
こんなに優しい子を泣かせるなんて、やっぱり先輩は最低だよ
「まぁ、気にすることないですよ。今日はたまたま機嫌が悪かっただけで、きっと明日には元に戻ってますから」
カズ先輩がヘコませたロッカーを触りながら槇先輩が言った。
「それにしても、派手にやられましたね…」
むなしくヘコんだロッカー、
みんながいる部室に
しばらく先輩は戻って来なかった。