I先輩
「そう…今すぐ他の部活に入部した方がいいわ。」
「え?」
ビックリして顔を上げる。
理事長の顔は相変わらず無表情で、なんだか目を合わせていたくなくて思わず反らしてしまった。
なんでそんなこと言うんだろう…
「いいからさっさとサインしろよ。」
「それは無理ね…
私が言ったのは"5人以上"あなたが集めたのは5人調度でしょう…?
まさか日本語も理解できないのかしら?」
口に手をあてて理事長がクスッと笑った。
「話になんねぇ
俺らは勝手にするし」
先輩は紙をクシャクシャにして床に投げると
「行こ」
そう言ってわたしの手を引っ張った。
「あっ…えと…失礼し」
「廃部決定ね。」
先輩は振り返らずにそのまま理事長室を出た。
「あ…の…先輩?このままじゃ廃部になっちゃいますよ!?先輩はそれでいいんですか?」
わたしの手を掴んだまま黙って歩く先輩。
「やっぱりわたし、戻って理事長に頼んで…」
言いかけた時に先輩の足が止まった。
ちょうど部室の前で。
「あー…俺ちょっと忘れ物してきた」
「え?」