I先輩
 


周りを見渡すと、梨乃ちゃんがいない。



「あの…梨乃ちゃんは?」

「あぁ、さっきトイレ行った」



カズ先輩が答えた。

先輩…理事長室にいたのになんで知ってるんだろ?

でも今はそんな小さな疑問より、大きな嬉しさの方が勝って

その時はそんなに気にも止めなかった。










次の日、部室に行くとカズ先輩がイスに座って真剣に辞書を見ていた。



「先輩…?」



まさか辞書と見せかけてまた変な本じゃ…!



「騙された…」

「え?」

「…っあのババァ!!
以上ってその数も入るんじゃねーかよ!!!」



急にカズ先輩が叫んで立ち上がり地面に辞書を叩き付けた。

わたしはその辞書を拾い上げて見た。


そこには、



【以上】―その基準も含む。



と書いてあった。


…つまり…5人ちょうどでもよかったってこと?

………まぁ、終わりよければ全てよしってことで



「くっそー!!!」



その後もしばらく部室にはカズ先輩の悔しがる叫び声が響いていた。


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