I先輩
 


お昼休み、わたしは梨乃ちゃんの教室の前にいた。



「あれ?琴璃ちゃんっ」



梨乃ちゃんはわたしに気づくと走ってきた。



「どうしたの?」

「あの…先輩が…昨日も今日も部活あるって…」

「…琴璃ちゃん…もしかして梨乃のこと疑ってる?嘘、ついてるって」



そう言って梨乃ちゃんが悲しそうな顔をした。



「あの、疑うとかじゃなくて…なんでそんな嘘ついたのかなぁって…思って」

「やっぱり疑ってるんじゃん」



梨乃ちゃんはわたしの目を見て言ったあと

両手で顔をおおってしゃがみこんでしまった。



「ひどい琴璃ちゃんっ…」

「え…!?いや…あのっ…ご…ごめんね?」



周りを見渡すと梨乃ちゃんのクラスの子たちが集まっていた。



「あ、とりあえず場所変えよ?」



ここだと目立っちゃうし…



「琴璃ちゃんて最低だよね」

「え?」



いまの…梨乃ちゃんの声?

なんかいつもより低かったような…


< 36 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop