I先輩
 


「梨乃ちゃん…あのね…」

「ごめんね琴璃ちゃん」

「え?」



梨乃ちゃんが急に謝ってきた。



「梨乃ねー、琴璃ちゃんみたいな子、大っ嫌いなの。」

「え…!?」

「どんな手使ってこの部に入ったのか知らないけどさー、目障りなんだよね。」



いきなりの豹変に、この子は本当に梨乃ちゃんなのかと疑うくらいで…

でも確かに目の前にいるのは梨乃ちゃんで…



「男前に囲まれてちょーしのってんじゃん?そーゆーのまじうざい」



自分の髪の毛を指に絡めながら梨乃ちゃんが言った。



「目障りだから早くやめてよ、琴璃ちゃん?」



梨乃ちゃんがわたしを見た。

さっきのあの目で…

こわい……



―ガタン



「あー…俺、裏表激しい人嫌い」



急に音がしてロッカーの中からカズ先輩が出てきた。


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