I先輩
 


先輩を見ると、途端に梨乃ちゃんは自分の顔を両手でおおった。



「せんぱいっ違うんです…」

「もうウソ泣きは通用しないけど?」

「……………」



梨乃ちゃんはバッと顔から手を離し、わたしを睨みつけると走って部室を出ていった。



「逃げられたか…」

「あの、先輩!」

「んー?」



なぜロッカーから…?

じゃなくてっ



「昨日、なにかあったんですか?」

「あぁ、梨乃ちゃんが琴璃ちゃんにイジメられてるって話?」



カズ先輩が笑いながら言った。

あの、それ笑い事じゃないと思うんですけど…?



「そんなことっ「しないよね、琴璃ちゃんは」



カズ先輩……



「大丈夫、千彰だって槇先輩だってわかってるよ」

「ほんと…ですか…?」



わたしが言うと、カズ先輩は眉を下げて笑った。



「ほら、仲直りしてきなよ
大丈夫だから。」



背中をトンと押されて気づく



「はいっ!」



梨乃ちゃんを、追いかけなきゃ



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