I先輩
 


「そこ俺の席なんだけど」

「すっ!すみません!!」



相手の顔を見るより先に頭を下げた。

膝に額がつくくらいに



「あのっ、階間違えたみたいでっ…
まさか2年生の教室とは知らずに席に座ってしまいまして…!」

「なんだ、そんなことか。ほら顔上げてよ」



申し訳ない気持ちで顔を上げると、笑顔の男の人が立っていた。



「よかったストーカーじゃなくてっ」



ストーカーって…!



「モテるんですね」

「あれ、俺知らない?」



そう言って自分の顔を指差す先輩は

色黒で足が長くていかにもサッカー部って感じ

上から下まで見てみても…
すみません、全くわかりません



「はい…」

「じゃー覚えといて、俺の名前は「たかー!!」



先輩が喋ろうとした時、女の人の声がした。



「うわ、きた」



先輩は迷惑そうに眉間にしわを寄せた。


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