I先輩
保健の先生は生憎留守で
二人向かい合ってちょこんと丸イスに座る
『とりあえず、冷やしとけば治るしょ』
ってカズ先輩が言ったから、ほっぺたに氷を当てて…
「なんか、保健室に二人ってマンガみたいだね!」
きゃっきゃとはしゃぎながら、先輩が言う。
「先輩…痛いですか?」
「んー?全然っ
もう冷たいので麻痺してるし」
あんなこと言われて…
きっとほっぺだけじゃなくて、心も痛い
「……先輩は、そんなことする人じゃないのに…
親使ってズルしたりなんか、絶対しないのに…」
「ことりちゃん…」
あの人たちはわかってない
「いーんだよ、あんなやつらにどう思われたっていーんだ。
だって、琴璃ちゃんや千彰がわかってくれてるじゃん」
そう言ってまたカズ先輩がわたしの頭をなでる。
「だから、泣かないでよ?」
知らない間にわたしの目からは大量に涙が溢れていた。