I先輩
―ガラッ
音がして、ドアの方を振り向いた。
「あれ、まだ二人だけ?」
「こっ…こんにちは!」
カズ先輩はわたしのあいさつにニコッと微笑むと
わたしの横にイスをもってきて座った
「なになに二人して何の話してたの」
机に肘をついてこっちを見るカズ先輩
どんな話をしてたかなんて、言えるわけない
「別に、な」
「はいっ!」
「なんか怪しーい」
そう言ってわたしの顔を覗き込んでくるカズ先輩
ち、近い……!!!!
思わず目を反らして立ち上がった。
「千彰先輩っ
おかわり、持ってきますね!」
千彰先輩のマグカップを持ってその場から逃げた。
だから、だめなんだよ
好きになっちゃ…
「琴璃、そっち壁!」
「え」
―ゴンッ
言われた時にはもう遅くて、壁に激突する。
「もー…どしたぁ?ぼーっとして」
「ごめんユズちゃん…」
今は移動教室の帰り
わたしはおでこを擦りながら謝った。