I先輩
 


「あ、あのっ…わたし教室に戻らないといけないんで…!」



すぐに先輩から目を反らして、階段の方を向く

そうだよ、なるべく関わらないようにすればいいんだ…



「ことりちゃん、なんか俺のこと避けてない?」

「さっ…避けてなんか…!!」



振り向こうとした時、階段を降りてくる梨乃ちゃんの姿が見えた。



「でもそんなあからさまに目反らされると、さすがの俺でも傷つくんだけど…」



そういえば最近カズ先輩の目、まともに見てなかった。

いっつもすぐに反らしてばっかりで、わたしはなんて失礼なんだろう

それに、先輩を傷つけてたなんて…



「わたしはっ…」



…わたしは、どうしたらいい?



「俺のこと、嫌い?」


そんなわけない

そんなわけないのに…



「わたしは…夏目先輩のことは何とも思ってないんでっ…!!」



自分の口から出た言葉…

最低だ、わたし


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