I先輩
 


―ハァ…



梨乃ちゃんは深くため息をついてから言った。



「だから、何でそれ隠すの?
ってか、何であたしに謝んの?」

「だって、梨乃ちゃんもカズ先輩が好きなんじゃ「はぁあ!!!?」



梨乃ちゃんの声が屋上に響いた。



「ちょっ、待って、なんで?
どっからそんなことなってんの!?」



滅多に大声を出さない梨乃ちゃんが、動揺してる。



「だって前に言ってたじゃん、夏目先輩が好きって…」

「は!?いつ!!?
そんなこと言ってな…」



急に梨乃ちゃんが黙り込んでなにかを考え始めた。

途端に、尋常じゃないほど冷や汗をかき始めた。



「そっか、あんたバカだったもんね」

「なっ…!?」



こんな時でもバカって…!



「前に私が言ったこと、あれ忘れて」

「え?」

「だから、あたしは夏目先輩なんか好きじゃないし、好きだって思ったことも一度もないから」



それは…?

どういうこと?


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